南インドでは音楽はおおきくふたつに分けられる。ひとつは既に作曲されている音楽カルピタ・サンギ―タ、もうひとつは作曲されていない音楽マノダルマ・サンギ―タである。マノダルマ・サンギ―タは即興演奏であるが、好き勝手に出来るわけではなく、ラ―ガの様々な決まりごとを守りながら行われる。
カルピタ・サンギ―タには、ギ―タム、ヴァルナムといった練習曲、歌詞に重点の置かれたキ―ルタナ、またティッラ―ナやジャ―ヴァリのような踊りのレパートリーから入ってきた小品などがある。 中心をなすものはクリティと呼ばれる歌曲で、ティヤーガラ―ジャなどの作曲家が歌詞を考え、ラ―ガやタ―ラを決めて作曲している。
マノダルマ・サンギ―タはクリティに付け加えられるもので、アーラーパナ、タ―ナム、ニラヴァル、スヴァラ・カルパナという4つのスタイルがある。初めのふたつはクリティの前に演奏され、残りのふたつはクリティの後に演奏される。 これら4つがフルに付け加えられるのは演奏会でメインとなる1曲のみである。 クリティのみでは演奏時間が5分ほどの長さでも、即興演奏が加わると30分にも1時間にもなる。 メインとして演奏されない場合は、そのコンサートのプログラムの順番によって、アーラーパナだけだったり、アーラーパナとスヴァラ・カルパナが加えられたりする。即興演奏は長くも短くも出来るので、コンサートの全体の演奏時間の中で演奏者は自在に時間調整しながら進めて行く。